千葉の東京湾近くにある、わたしのお家は、 風向きによって、海の匂いがする。 海の匂いのするところは、 遠く離れたところにある、 わたしの生まれ育った場所も同じ。 朝、窓を開けて、 夕方、会社を出て、 寝る前に、ベランダに出て、 雨の降る日に、窓を開けて、 かすかに鼻孔に届いてくる、 空気の匂いは、 いつも季節を教えてくれて、 そして、たくさんの想い出のかけらを、 ほんの少しだけ届けてくれる。 実際に、思い出さないくらいがいい。 ほんのちょっとだけ、 そんな香りがするだけでいい。 ほんのちょっとだけ、 あの ...