忘れちゃいけない恋がある。
by サントリーゴールド (嘘)
こうちゃんと知り合ったのは、パチンコ屋さん。
友達以上、恋人未満の男の子に、初めて連れて行かれたパチンコ屋さんで、ビギナーズラックを迎えて、楽しくって何度も連れてってもらってた。
女の子は珍しいので、店員さんに覚えられちゃって、両替してる時に
『今日は勝ってますか?』
なんて聞かれちゃったりして恥ずかしかったけど、1人じゃないから安心だった。
しばらくして、1人でも行けるようになっちゃって、遊んでたら、いつもの店員のお兄さんに、
『今日は彼氏さんと一緒じゃないんですか?』って聞かれた。
彼氏じゃないけど、
「今日は1人です」って笑って言っといた。
しばらくして、お兄さんが近くに来て、足元でなんか拾って、
『落としましたよ』って、紙を渡された。タバコのカートンのケースをメモにしたやつ。
「わたしのじゃないですよ」って言ったら、
『いえ、あなたのですよ』ってww
the、電話番号。
こんな声のかけられかたは初めてだったし、彼氏いると思ってるだろうし、
なんか、勇気あるなぁって、めっちゃ心が動いた。
でもなんか、ナンパ無理。と思って、お兄さん捕まえて
「お返しします」って言ったら、
『電話欲しいんです』と。
「彼氏いるの知ってますよね」って言ったら、
『それでも電話欲しいんです』と。
『じゃあ、今日、勝ったら電話ください』と。
大勝ちしたりするし。
正直者で小心者のわたしに、電話をしないという選択肢はなく、お兄さんに電話をした。
しゃべると優しくて楽しい人柄に安心して、お付き合いをすることにしたんだけど、
優しくて楽しかったけど、、、惚れきれなかった。
そうなるとわたしの最悪の性格がババババーンと前面に出てしまって、ワガママの最悪女になってしまったり。
優しくって怒んないから、ワガママ言い放題で、本当にごめんなさい。
そんなワガママにも、こうちゃんはいつも優しかった。ヤツはいつも自分で『だって背中に羽がはえてるでしょ?』って笑わせてくれた。
そんな彼は、スリムで筋肉質で、ジーンズの似合う素敵なスタイルだったんだけど、『手』だけでかくて指太くて、グローブみたい。
「誰の手?」みたいな。
その不思議なお手手の生命線は、とーっても短く、「ヤバイヤバイ、書こう書こう」って笑ってた。
わたしはいつも、なんかつらいことがあったり、やなことがあったりすると、すぐ「もう死んじゃうかも」「もう死ぬ」って言ってたけど、彼はいつも
『すぐ死ぬって言うヤツに限って、長生きするもんね』って笑ってた。
「だったらこうちゃんも、死ぬ死ぬ言っててよ」とか言って、2人で笑ってた。
その後、わたしは彼に対して、史上最悪の裏切り方をするんだけど、別れてからも新しい彼と上手くいかなくなったら、こうちゃんに電話した。
だいたい3ヶ月置きぐらいに電話しちゃうから、
『忘れた頃にかけてくるひどい女、3ヶ月女』 とか言われた。
そんなこうちゃんは、家族の都合で福岡を離れて、東京に行ってしまった。
もう会うことはないと思ってたんだけど、わたしが東京(というか千葉だけど)に来ることになった。
久しぶりに電話したら、
『なにまたケンカしたの?』 と言われた。
「こうちゃんいまどこ?」
『東京だけど』
「東京のどこ?」
『え?言ってわかるの?』
「いいからどこ?」
『一之江ってとこだけど』
「わたし船橋。今から会わない?」
すぐに来てくれた。
ごはん食べて、いろいろ話して、それからもたくさん遊んだ。
ある日の夜、ごはん食べてこうちゃん家まで歩いてるとき、すごい疲れちゃって、「こうちゃん、おんぶしてよ」って言った。こうちゃんは、ちょっとさみしそうに笑って、
『もう、あなたは俺のお姫様じゃないからねー、だから神様じゃなくなったんだよねー』って。
なにそれ、めっちゃさみしいやん。
でもこれが、本当。
少し距離をおかなきゃなーって思った。
そうこうしてる間に、一緒にスノーボードに行ったときに大ケンカして、口もきかず帰って来て、それからぷっつりと連絡が途絶えた。
どうせどこかで元気に暮らしてるし、彼女できたかもしれないし、結婚してるかもしれないしって、ずっと思ってた。
でも、ある朝出勤前に、テレビを見ないわたしが唯一見るテレビ番組だったズームイン朝を見てたところ、首都高速でバイクの事故があったってニュースが流れてた。お弁当作りながらだったので、後ろ手に見てたら、亡くなったのは〇〇浩一さん(3◯)と縦にテロップが出てた。年齢の一の位は、観葉植物の葉っぱで隠れていて、見えなかったけど、昔からこうちゃんの名前は、石を投げたらあたるよね、とか言って笑ってたくらいよくある名前。他人でしょ、って、気にしないで出勤した。
でも、おかしなことに、その数日前から、何度かこうちゃんに似た人を見ることがあって、その度にドキってしてた。久しぶりにあうのに、疲れた顔してないかな、ブスだったらやだなとか。。w
でももちろん赤の他人。よく見るな~くらいにしか思ってなかった。
出勤するまで気にしてなかったんだけど、急に気になって仕事中にネットでニュース検索したら、
…こうちゃんだった。
なんとか、会社の方や新聞社の方、警察の方、友人のご協力により、最期にこうちゃんに会うことができた。
お母さんはわたしに、
「あんたがいつも見らんテレビで見つけたとは、こうちゃんが、最期にあんたに会いたがっとうとよ。お葬式にいってきなさい」って言ってくれた。本当にそうだと思う。
恋愛を語るには、大人の恋を語るには、24才と25才の恋は、まだまだあまちゃんだったかもしれない。
でも、こうちゃんの愛は、彼なりに、そして25才なりにとても大きく、とても優しく、そしてたっぷり愛してくれたのだと思う。
わたしはこうちゃんのことでは、そんなに大泣きしなかった。まだどこかにいる気がするのも本音だし、ひどいことしたわたしが大泣きするのもなんだし、、、とか思ってたし。
でもそんなの関係なくて、わたしはちゃんとあの大きいこうちゃんの愛情を、ちゃんとしっかり受けとってよかったんだな、受けとらなきゃなって思った。
もう会えないけど、なんだか知らないけど忘れた頃に現れるよく似た人(笑)
『あなたはしあわせになっていいんだよ』って言われてる気がする。
ちゃんとしあわせじゃなきゃ怒られる気がする。
わたしたちは、愛されるのにふさわしいのです。
こうちゃんからもらった愛を、たくさんみんなに還元していきたいです。
そして、こうちゃんとのステキな恋を、胸の奥の記憶だけにしておくのはもったいないのです。
先週、またこうちゃんに似た人を見かけて、泣きながら歩いて帰ったので、したためてみました。
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過去のブログからのお引っ越しでした♪